風雪のビヴァーク

私は今、汗を吹き出し寝られずにこの記事を書いている。

松濤明という登山家をご存知ですか?

私は知らなかったんですが、登山家の偉業をネットで見ていてたまたま見つけた名前でした。

戦前〜戦後まで活躍した天才登山家で、中学生の頃から一人で山に入り数々の偉業を成し遂げている。

戦中も学徒出陣しており、その時期以外は山の中でほぼ過ごしていたのではないかというくらい山男である。

そんな彼の山行を記した本が風雪のビヴァークである。

ノンフィクションの松濤明の生きた証がここに刻まれている。

今で言うヤマレコ。

読む人が読めば貴重な、そして興味深い内容だが、一般の人から見れば意味がわからない。

私も読んでてわからない単語がたくさんあり調べまくった。

ラヂウス?

ラクトレート?

そんな松濤明は正月に有元と共に遭難し、亡くなっている。

その死を決意した時から、亡くなる直前まで手記にその思いを残している。

凍傷にも関わらず筆圧のしっかりした字で書かれたその手記には、彼の強さが感じられる。

遭難の数日前から風雪の強い中、平然と雪洞でやり過ごし濡れて凍えそうな中でも下山という選択をしない。

手記の中に一度だけ遭難の数日前に下山か登るか迷うと書かれていた。

たまたまそこで天候が良くなり先を目指してしまった。

戦後間もないその時期の装備で厳冬期に山を移動して暮らしているかのように平然と先を目指す。

どこに向かっているのでしょうか。

二人で行動しているのかと思っていたら、手記の中に「有元にヤッホーを送る」「有元に追いつく」とある。

それぞれで行動し、同じタイミングになれば一緒に過ごす。そんな感じのようだ。

行動不能から死に絶えるまでの手記はリアルで、汗が止まりません。

今までも冬山はやらないと決めていましたが、絶対にやりません。

怖すぎる。

文才のある松濤明の手記に引き込まれ、自分が遭難の現場にいるかの様な想像が頭から離れません。

暑いのに、寒気がする。

享年26歳。

若過ぎる天才の潔過ぎる死の受け入れ。戦後間も無くだから、彼をそうさせたのかもしれない。

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